かみさまの椅子
煌めくナイフは少女に一直線で襲いかかる。
殺られる、と瞬時に悟り、迫り来る恐怖に思わず目を瞑る
「邪魔だ退け」
「わっ!」
いきなり肩を掴まれて後ろに突き飛ばされ尻餅をつく。
見れば男がナイフを素手で掴んで涼しい顔して立っていた。
「雑魚がナメた事吐かしてんじゃねぇよ」
ニヤリと口角を上げてナイフを引き寄せそれに釣られて敵も引き寄せられる。
一瞬だった。
敵の脇腹に男の横から繰り出された蹴りが入りそのまま横に吹っ飛んだ。
唖然としたままの少女に向き直り、男は無言のまま少女の腕を掴む。
「あの!助けてくれてありがとうございます!!」
立ち上がると同時に我に帰り、慌てて辺りの騒音にも負けずに声を張り上げて礼を言うが男はちらりと少女を見ただけでそのまますぐ側にあった木の箱が積み上げられてある隙間に少女を押し込んだ。