かみさまの椅子
「気をつけた方がいい」
「あぁ?」
「旦那の所に女が居座り初めた事は広がり始めてる」
ぴくりと眉が動き胸ぐらを掴んでいた手を離した。
「ランクトリプルA級の賞金首のうち首猟ジェスー、獣遣いのアバッティ、毒蛾、白獅子は特に政府から目を付けられている」
マスターは掴まれていた息苦しさから解放されたからか饒舌に話し始めた。
「それは何故か、神の遺産を狙うロード・キッドナップ(神の盗人)だから」
「くだらねぇ、世間話しに来たんじゃ」
「気をつけた方がいい」
相手の言葉を遮りマスターは話す口を止めず話を続ける。
「ロード・キッドナップの内の一人首猟ジェスーがここらの空域で活動している、政府が警戒レベルを2から4に上げたのはその為だ、旦那達も警備隊に見つかっただろ?」
つい先ほどの事を言い当てニヤリとマスターの口元が孤を描く。
「ふん、左目の千里眼はまだまだ健在らしいな」
まだまだ政府とのいざこざを引き起こしたくないからとは言え逃げる様に去った事を知られたくは無いから口にはしなかった事意地の悪い顔で言われれば渋い顔になる。