かみさまの椅子
ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ
薄暗い路地裏で何度も物が崩れる音がし、その度に石畳の細い路地には物と箱で人が通るのを邪魔していた。
「くそっ!すばしっこい女だ!!」
細い路地裏には不便な大柄な男達が遙か前を走り抜ける青空の背を憎らしげに睨みつけていた。
アルタと別れた青空はワザとつけているであろう男達の前を通りすぎ注意を自分だけに向けた、アルタを早めにリオン達と合流させるために複雑な路地裏に入り男達も入り込んだのを確認するや安い挑発で煽り追いかけてくるように仕向けたのだ。
「ちょろいね~♪」
鼻歌でも歌いそうになるほど軽快に走り抜ける、あんな大柄な男達と向き合うのは不利と判断し青空は複数相手にせず、追いつかれても1対1のガチンコ対決になるように裏路地に入ったのだが、上手い具合に路地裏には行く手を阻んでくれそうな物が沢山あり青空は物を倒すだけしかしていない。
「そろそろゴールだ」
先に表通りの明るい光が見え青空は路地裏を抜けた後は人混みに紛れてサヨナラしようと考えていた。
「オイ女一人に何やってんだよのろま共」
「……っ!」
青空は突然の冷や汗が出る程の殺気を感じた。