かみさまの椅子



一人の男が沈んでゆく夕日を静かに眺めながら一筋の涙を流した、今までの苦労が脳裏に蘇り一瞬で今まで築いてきたものが崩れ、男も崩れ落ちた。


「う……ぅ」

「まぁ諦めな」

「運が無かったんだよ」

「う………うわぁーー!!俺の店ぇぇぇぇえぇーー!!!」


もう号泣




崩れて潰れた、かつて酒場だった場所は見る影もなくマスターはわんわん声を上げて泣きガルドとフィードがそれを慰めていた。

「お、お、俺の今までの苦労が、どんな柄の悪い奴らが来ても、空賊と海賊の喧嘩で弾丸が脳天かすっても、軍が賞金首目的でガサ入れしても辞めずに20年…………20年が今」



「「崩れた」」

マスターが最後まで言わずにうずくまるので代わりに言うガルドとフィード。

言わずもがな破壊したのはリオンとゲイリーである。

「あっちはもうそろそろカタが着きそうだな」



見れば地面に転がるゲイリーとそれを踏みつけてまぁ悪そうな顔で笑いながら剣を突きつけるリオン。

「ふむ、なかなか悪くない」


今にも斬りつけられそうなのに余裕綽々な表情のゲイリーに気にくわないリオン。

「何が目的だ」


「予想以上だったな、満足満足」


「……会話がなりたたん」

「私の目的は」

「キ、キャプテン!!」

ゲイリーの言葉を遮り息を切らしてアルタがわき道から飛び出ししてきた。
< 229 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop