かみさまの椅子

「……………」


ポイッと無言のまま椅子を放り投げられる椅子。


「ぬぁ!何しとるんじゃ!!」

「何じゃ無いから、あんな量販店に売ってそうな椅子要らないんだよ、早く賞品出しな」
傍から見たらカツアゲの様である

「だからこれが賞品じゃ」

「何?詐欺ですか?家は座布団派だから椅子要らないんだよ」


元々当てる気なんか更々無かったのに当たった瞬間に賞品に執着する少女。

「まぁまぁいいから座ってみんさい」

倒されていた椅子を起こして無理矢理少女を椅子に座らせる。




「な…………なななななな何これ!?」


視界の隅から色が抜け落ちる様に白くなって行き、建物や人物を縁取っていた黒い線も空気に霧散した。

真っ白い空間に残ったのは未だにはっぴ姿のおじいちゃんに状態が飲み込めずに呆然としている少女だけだった。

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