捨てられたプリクラ帳 ―復讐―
咲月のお母さんが玄関から
顔を出す。



私は、無意識のうちに
表情を硬くしていた。



「あら、朋子ちゃん!」



と、咲月のお母さんはニコニコと笑う。



私にはこんな天使の笑顔を向けてもらえる
権利なんて、ないのに。



....ごめんなさい。



「あの、咲月は大丈夫ですか?」



本当に心配だったんだよ....
そうだよね、心配だったの。



心に言い聞かせる。



咲月のお母さんは、あぁ、と
眉を潜めて口を開いた。



「咲月、喉が痛いらしいの。
 だけど、昨日の夜から元気なかったのよ。

 その時は体の調子、全然悪くなかったのよね。
 心の病かしらぁ....」



昨日の夜....?
咲月が私の家から、
帰ってきたあとってことだよね?



....心の病....?
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