捨てられたプリクラ帳 ―復讐―
あぁ、それが本当の理由だよね。
朋子がうちに好きで来たわけがない。



「....そう。
 どうもありがとう。」



咲月がふんわりそう言うと、
朋子がうぅん、これくらい....と
言いながら、頭をかいた。



「ごめんね、今あたし風邪引いてるの。
 うつっちゃったら嫌だから、
 もう帰ってくれる?」



「あ、分かった....」



「今日はありがとね。
 今度プリクラ帳見せてね。」



「えっ....」



「じゃあ、明日は学校来られると思うから。
 バイバイ。
 ありがとう。」



うん、と浅く頷き、朋子は
ゆっくりと咲月の部屋を出て行った。



咲月はマスクを外し、
大きく深呼吸をした。



計画は、今日考えた....
あたし、復讐しよう....



部屋の窓が風でガタガタと揺れ、
咲月はぼんやりと顔をそっちに向けた。



今日は来てくれてありがとねと、
咲月の母の能天気な声が
玄関に響いた。


第5章:おわり


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