捨てられたプリクラ帳 ―復讐―
「あ~今日も寒いな!」



桐原が自分の手を握り、
大袈裟にため息をつく。



咲月はギュッと目を瞑り、
もう一回、祈った。



───先生気が付かないで。



「あれ....そこの席....」



彼の声を聞いた咲月は、
意味もなく心の中で
どうしようと呟いていた。



「あぁ....
 今日の朝凍ってた地面で滑って、
 あいつ保健室行きましたー。」



保健室....?
咲月は顔を上げ、みんなの視線が
向いている方向を見る。



1人の男子の席だった。
確かに空席で、桐原が真っ先に
聞いたのも無理はない。



「そうかぁ。
 この前雪降ったもんな。」



この前の雪降った日....
咲月にはとても嫌な思い出があった。



ボロボロにされたプリクラ帳を
見てしまった、あの日だ。
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