捨てられたプリクラ帳 ―復讐―
「お、井上どうして泣いてる?」



咲月がホッとしていられるのも
つかの間だった。



咲月は斜め前の朋子の席を
ドキドキしながら見る。



「え....あの....何でもないです。」



「....そうか?
 俺にはそう見えないけどなぁ。」



....桐生はお節介な人だったことを
思い出し、咲月は頭を抱える。



「放課後、教員室に来い。
 力になれたら良いと思ってるからな。」



こう言われては断れない。
朋子は、微かに頷いた。



咲月は、どうしようかと悩む。



お節介な桐生は、そのことを聞いたら
1のAの中村を探し出し、こう言うだろう。



「お前がこの前出した2通の手紙は
 伊藤咲月じゃなくて、この子に届いてたぞ。」



だけど、中村という子がいなかったら、
先生は深く深く追及するに違いない。



悪戯か、と多分第一に考えるだろう───
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