捨てられたプリクラ帳 ―復讐―
「うわー!ビショ濡れになりそう!」



私たちは駅のショッピングモールを出た。



「朋子!空の色見て!
 だって、だって
 さっきまではカラッて晴れてたのに。」



ぎこちない会話だったが、
お互い笑いあえた。



突然空一面に雲が覆った。
雨がバーっと降り始めた。



「咲月、これって夕立って言うの?」



大雨に濡れながらでも
咲月といると楽しい。
今までこれほど楽しかったことは
ないだろう。



やっぱり喧嘩って意味があるんだ。
喧嘩したあとの仲直りに意味があるんだ。



「うん、冬の夕立は珍しいの!」



あたしたちが喧嘩するのって
冬の夕立が起こるのと同じくらい珍しいの。



この2つの出来事が一緒に起きるなんて、
スゴいと思う!



咲月は目を輝かせながら言った。



「発達した積乱雲によって起こり、
 雷を伴いやすい。

 ....だから気をつけないと。」



「『新中2・理科』と、一字一句違わぬ丸写しの答えだ。」



ハリーポッターの登場人物が言う台詞を冷たく言って見せる。



咲月は嬉しそうに笑った。

< 61 / 65 >

この作品をシェア

pagetop