天然100%
「でねーおじさんに何されたか覚えてないけどユウって男の子が助けてくれたんだー。
偶然電車で優くんがそう呼ばれてるの見て、これはもう運命だ!って思ったんだけど…」

「へえ…」


これは言えない…。

自動販売機から落ちてきたジュースを取り出す。
一つを西根さんに渡して、もう一つボタンを押す。

振り返るとぎこちない笑みを見せてしまいそうだ。


「あの時はすごく嬉しかったけどね。
でも満員の電車の中で、アラッキーが私を潰れないようにしてくれたときは…
もっと嬉しかったんだよ…」

「そ、そう…。ところで、呼び捨ては構わないけど、名前で呼んでくれる?」

「良いよ!ユウキ」


いくら訂正してもアラッキーからアラキには戻りそうにないので、思い切ってそう頼んでみる。


チカンじゃない上にとても昔の話を聞いて絶句した。

そんな適当な思い出を元に愛情を抱いていたのかこの娘は。
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