星の旋律、砂の音色
めんどくさい入学式。
本当は行きたくなかった大学。
「ほら、何やってんの、早く行くわよ」
お母さんがとろとろ歩く私をせっつく。
桜は少し散り始めていて、
ハラハラと花びらが舞っている。
「あんたが東京行きたいとか言い出した時は、
もうお母さんどうしようかと思ったわよ。
お父さんに相談してよかったわ。
こうやって地元の大学に通うのが一番なのよ」
私の憂鬱な気持ちを知ってか知らずか、
お母さんはポンッと肩を叩く。
何も知らないくせに。
私はお母さんに気づかれないよう、
そっと唇を噛んだ。