スカイ・フラワー
「なぁ…山地。十字架だけど」

「あぁ!コレ?作ったんだぁ高円寺がねっ」

「…あ…そう」

(そう言う問題じゃないから…。十字架あったらドラキュラやられちゃうって……)

まぁ、山地は細かい事を気にしない豪快なところもある。

この矛盾した行動に気付き始めた生徒や客は、俺達の行進を見てにわかに笑っている。

「おい!二人共!俺らウケてるぞっっ」

(おそらく、違う意味でなっ!!)

こうして、俺達はお化けでありながらも、怖がらせるどころか逆に笑いを誘いながら校舎中を歩き回った。

俺はフードを深く被っていた御陰でだいぶ恥かしさは免れたが、田中は可哀相だった。

そして、俺達の教室に戻ってみれば客が列を成して並んでいた。

嬉しさ半分、驚き半分でテンションの上った山地はドラキュラなのにサングラスを取り出してかけると、受付まで駆けて行った。

「あいつ、サングラスいつ持ってたんだよ」

「さぁ…」

俺と田中は、受付の横に椅子を設け座って、その後の盛況ぶりを眺める事にした。

以前、山地はドラキュラスタイルで受付付近の人を笑わせたりしていた。






ーーーーーーー………

文化祭終了後……



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