スカイ・フラワー
「ぷはーーーっ!忘れてたっっ」

山地は息を整えながら言った。

「何か忘れ物?」

高円寺は驚いて聞いた。

「そーなんだよ!実は三枝にね……」

「三枝君?」

「うん!!」

すると、山地は高円寺から俺に視線を移した。そして、二カッと笑うと肩を組んでまさに今、頭の中で推測した言葉を言った。

「宿題みぃーーーっせて!!」

「……ヤダ」

「なにぃ!!親友が困ってんだ!力になってくれよぅ!」

「テキストに誰かさんの絵を熱心に描いてたのは何処のどいつだ?」

「うっ………」

俺は高円寺をチラッと見て山地をすぐ見た。

「ハハッ!泣くなよ山地っ。仕方ないな見せてやるよジュース奢りで」

「…三枝が声出して笑うの始めて見た……」

「ん?そうか?」

「…やっぱお前って笑った方が良いよ!!」

「私もそうだと思う!」

高円寺も笑顔で続いた。

「ま、笑ってないと目付き悪いしねっ」

「長月はもっとマシな言い方ないかな」

「ないですぅっ」

長月も笑顔だ。

「ありがとう…皆」

呟くように言った言葉だったけど、俺の気持ちは皆に届いたようだった。


こんなに眩しい笑顔する奴等と居れば誰だって笑えるようになるんじゃないかと思った。

四人で過ごした夏と言って良い程、俺はみんなと遊んだり学校に行ったりした。

海だって、祭りだって、花火だってした。








俺の凍ってしまった心を、その温もりでとかしていってくれた。

この夏の暑さと共に………。






俺は幾度と無く思い出すんだろう………







夏が来る度に………






この一夏の物語を……………


―end―


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