スカイ・フラワー
その後、二階の部屋を案内されて仕事の主な内容もザッと教えてもらった。

部屋からは浜辺までの町並みが続き、そこからは広大な海が広がっている。

なだらかな高地に位置する【あおい屋】は元は民宿だったが、五年前に花屋へ移転したと真弓さんは言った。

そして、隣りにそびえる別荘には人が住んでいて、よく【あおい屋】で花を注文してくれる常連さんらしい。



ーもう11時頃になっていた。部屋でも落着いたし、早速、昼ご飯まで手伝う事になった。

「じゃあ、買い出し行ってくれるかな?はい、晩ご飯の材料のメモとお金っ」

「はいはーい!いってきまぁーす」

「行って来ます」

「気をつけてねー!」

真弓さんの凛とした声が背中に響いた。そして、夏の暑さが俺らに「こんにちわ」とでも言っているようだった。

「あづいよぉぉ…」

茹る暑さに山地がうなだれて言った。

「店に着けば涼しいだろ。さっさと歩け。俺は場所知らねーんだから」

「あ。言い忘れてたけど、何か隣りの家に俺らと同じ高校生来るんだって!!」

突然、声のトーンを上げて興奮気味に話した山地の顔は満面の笑みだった。

「……へぇ。女子なのか」

「な、なんで分かったんだよぅ!」
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