スカイ・フラワー
隣り合わせ
花が陳列されている広い空間を通っていると、女の子の話し声が聞こえた。

「ねぇ!紫陽花、別荘にもあったよねー。もう八月なのに不思議ー」

そういえば、この店にも紫陽花がある。売り物ではなく、飾られている。

「そうだね!」

「ねぇ、いつもココに来るの?」

「うん。いとこの母が常連さんなの!」

「そーなんだ!だから、あんなに親しいのね」

どうやら、この女の子二人が山地が言っていた、隣りに来るというときめく女子高生のようだ。

「ねぇ!紫陽花の花言葉って何なの?」

俺から見て右側にいる、女の子が聞いた。

「うーん…。何だったかなぁ…」

紫陽花の花言葉……。


何故か俺は気付けば、女の子の近くまで歩みよっていた。

「あの。紫陽花の花言葉は………っ!?」


俺が声をかけて、言おうとした瞬間、喉まで出かけた言葉が一気にその場で詰まった。



何故なら、俺の声で振り向いた女の子二人は




長月と高円寺だったからだ。




「…えっ!?うそ……」

長月は目を丸くしている。

「さ、さ、三枝君……」

高円寺は明らかに動揺してしまっている。

「……」

俺は持っていた買い物袋をその場にドサッと落した。


暫く沈黙は続いた……


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