スカイ・フラワー
結局、あの後、俺達は仕事をこなさなければならないし、長月と高円寺も午後からも買い物に行く予定があるらしく、カレーをご馳走になってすぐ行ってしまった。



―そして、二日目―

「じゃあ、花火タンマリ買って花火大会しよーよっ!」

山地は花の手入れをしながら、俺のいる店先まで聞こえる声で言った。

「…うっさ」

「なんですと?」

俺は聞こえないように小さく囁いたが、山地は既に俺の背後へと移動していた為、大して意味をなさなかった。

「ちけーよ。山地」

山地は俺の肩にアゴを乗せたまま口を動かした。

「どうなんだよー。俺らは最後の二日と今日の午後だけなんだぞ!遊べる時間は!」

「……あの二人はのらなそうだぞ。特にあの長月はな」

「うーん。いや、いける!俺の巧みな話術で!」

「あっそ。で、今日の午後使って二人を誘って花火を調達して真弓さんに頼まれた買い出し行くのか?」

「忙しいけど、これが最善の策だよ!」

「はぁー…」

俺は山地の張り切り具合を見て、コイツの意志は固いと確認した。

という訳で、午後に休みをもらった俺と山地は、両開きの門の呼び鈴の前に立っている。

「おい。山地、早く押せよ」

「何かこういうの緊張するよね。何かデート誘うみたいでさ…」

「何だよ。お前デートしたいからじゃねぇの?」

「…っバカ!!違うよっ。ただ、その……二人じゃ向こうもこっちも、つまんないだろっ!!」

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