スカイ・フラワー
「ふーん。まぁ、お前の好みは…高円寺か」

「……っ!?…バカ言うなよ!!」

「…山地。耳、赤くなってんぞ」

山地は慌てて耳を手で隠して焦っている。


これは確定だな。


山地は何かと高円寺の話しを授業中や休み時間に話していたし、仲も良いみたいだった。

それに、女の子二人が長月と高円寺だと知ってから異様に嬉しそうにしていたし。

優しい俺は、山地の代わりに呼び鈴のボタンを押した。

『はい』

出たのはいとこの女性だった。

「あ。どうも。隣りの者ですけど」

『あら。バイトさんね?どうしたのかしら』

「あの。実は高円寺と長月に用がありまして」

『あぁ、そうなのー!丁度今、お昼を食べてるところなのよ。あなた達もう食べちゃった?』

「はい」

「あら、残念。でも、お茶なら平気でしょ?カレーのお礼にあがっていってちょうだい?待ってるわ」

「すみません。御邪魔します」

俺達は豪華な門を通り抜け、手入れの行き通った美しい庭と紫陽花を横目にドアの前まできた。

恐る恐る、ドアを開けると広い玄関が俺達を迎えた。

「「お邪魔しまーす」」

なるべく聞こえるように大きめの声で言った。声は軽く響き、上にはシャンデリアが煌めいていた。

それに、洋風な造りと素晴らしい絵画や銅像等にも圧倒されていると、奥の扉から高円寺が小走りで来た。

「いらっしゃい!こっちよっ」

高円寺はニコリと笑って言った。

「おっじゃましまーっす!!」

いつの間にか山地はめちゃめちゃ元気になっていた。

高円寺の後について行ってついた先は、デカいテーブルが真ん中にあり、液晶テレビや、ソファ、キッチンがかなりピカピカのリビングだった。

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