スカイ・フラワー
長月はティッシュで頬のクリームを拭き取ると「サンキュ」と言って俺に返した。

高円寺はクスッと笑ってまたクレープを食べた。

「おい!三枝っ。うめぇよ?」

既に山地のクレープは半分程なかった。



クレープを食べて、歩き出したのは丁度、四時くらいだった。

段々、お祭の屋台等がちらほら見え始め人も多くなり、賑わい始めた。

神社に近くなるにつれて、人込みも酷くなり道なりに流れができてきた。

神社へ向かう流れと、神社とは逆へ向かう流れが出来た。

「うわぁ…。人多いな…。どうする三枝?」

「取りあえず、境内の方にある階段上った所はあんま人いないからひとまずそこで休んで決めよう」

「そだな」

俺達は神社の境内の階段を目指して歩いた。

階段の前ではさらに左右に道があり、人の流れはそこで分かれている。

そして、その前には十字路のように縦と横に人が分かれる場所もあった。

「はぐれんなよ」

と今さっき言ったばかりなのに、早速はぐれた。

十字路を真直ぐに行っていた俺と高円寺は無事に横へ流れる列に捕まらずに通り抜けたが、後ろに居た山地と長月が気付いたらいなかった。

俺は高円寺と近くにある金魚すくいの屋台で待機していた。

「やっぱりこうなるんだな」

「二人とも平気かな…」

「二人一緒ならまだマシだけどな…。でも、今は境内に行こう。もしかしたら来るかもしれないからな」

「うん…」

俺と高円寺はまた、境内へと真直ぐに続く流れの列へ戻った。
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