スカイ・フラワー
一通り波打ち際で遊んだり、海で泳いだりしていたが、さすがに一時間もすると飽きてきた。

浜辺にシートを引いて、大の字で仰向けになる。

「山地ぃー。今、何時?」

「しらねー」

携帯は店に置いて来てしまっていた。

「じゃ、海の家行こう」

俺達は暑い日差しの中、海の家へ急いだ。


「かき氷二つ!ブルーハワイとコーラでっ」

「はいよー…まいどっ」




時計はもう11時をまわっていた。

「一旦、店戻る?」

山地はプラスチックのスプーンを咥えて言った。カップには既にかき氷はなかった。

「そうだな」

俺は残りの溶けたかき氷を平らげると席を立った。

ふと山地を見ると、目は前をむいて、スプーンを咥えたままピタッと動きを止めていた。

「いらっしゃーい」

店員が声を出した。

次の瞬間、山地は咥えたスプーンを口からこぼしてボッと顔を赤くした。

その反応を見て、俺は後ろを向いた。



「……あ」



店に入ってきたのは、水着姿の長月と高円寺だった。

このシチュエーション何回目だろう。

まぁ、隣り同士だからとは言え、こうも偶然あってばかりだと必然に思えて来る。

学校に行けば友達に会う…みたいな感覚だ。

「また会ったわねー」

長月は俺達の席の前で言った。高円寺は水着姿が恥かしいのか、長月の後ろに隠れるようにしている。

どちらもよく似合っている。

「こ、こ、ここ良いよっ!!」

山地は動揺しながら言った。俺の隣りに山地は移動して、向かいに二人が座った。

高円寺はまだ恥ずかしそうにしていて、山地はチラチラと前を見たり外したりしている。

「たまには水着姿もいいでしょ?千広とかメッチャ可愛いしー」

長月は高円寺を横目に俺達に言った。

「うんっ!どっちもすっげぇ可愛いーー!」

山地はテンションが異常に上がっていた。

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