スカイ・フラワー
「あ、もしもし?山地だけどさー。もう行っていいかな?」

『うん!いいよぉ』

「わかった!じゃね」

「はーい!」

ピッ。

「じゃ行こう」

俺は店を出た。

「何で何も言ってないのにわかんだよ!」

山地はサンダルを履きながら言った。

「勘だよ、勘」
(だから顔に出てるんだって…)

山地のほころんだ顔を見れば、行っても平気だということぐらい容易に分かる。

まぁ、俺だからかもしれないけど。

「お邪魔しまぁーっス!!」

山地は勝手にドアを開けた。

(勝手に開けんなバカ)

俺は心の中で呟くと、山地の後から玄関へと入った。高円寺が小走りでやってきた。

「どうぞっ。応接間でねー」

案内された応接間はエアコンの冷房が効いていて別の世界みたいだった。

「涼すぃーーっ!!天国だぁっ!!」

応接間は真ん中に低くて大きな木製のテーブルがあり、フローリングにはソファの代わりに座布団が置かれていた。

「うわぁ…リビングもスゲェけど、応接間もまた綺麗だな…」

俺はグルリと室内を見回して言った。

「でしょ?」

長月はドアから入って手前側の奥に座っていた。

「お前の家じゃないだろ…」

「細かい事はいいのよ。アンタ達はそっちね」

長月はアゴでテーブルを挟んで向こう側を指した。

「おっけーっ!!」






高円寺がジュースとクッキーを持って来てくれた。やはり、リッチな家は違うな。

一段落ついた。

高円寺の目の前には山地。これは定位置だ。俺は長月の前で、バッグから宿題を出すと疑問を長月に投げ掛けた。

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