スカイ・フラワー
火薬の匂いと共に眩い輝きを見せる花火は、暗闇に残像を残しながら色を変えてゆく。

花火なんて何年ぶりだろうか。俺はこの輝きと火花が懐かしい。

さざ波に火花が落ちて消える。皆の笑う声が、俺達以外、誰もいない浜辺に木霊する。






なぁ…楽しいって何なんだろうな。




山地と居る時だけが、俺を楽しませる時間。


それ以外はただの暇な時間。





俺ってツマラナイ人間だな。






でも……今は……






最高に楽しいよ。





この時間が…たまらなく楽しい。





時間が止まって欲しい。




幼稚な考えだと分かっていても、素直に心の底からそう思える。





漆黒の海面には、瞬く星と下弦の月の月光が反射して煌めいている。




俺達は残った線香花火に火を灯して、その輝きを静かに眺める。




まるで、この時間を惜しむように…。

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