スカイ・フラワー
俺はもう沈みかけた夕日とは反対方向へと歩き出した。

道は一本道だが、先はT字路になっている。そこを右折していく。

すると、商店街の一角に出る。まだ、賑わいを見せる商店街をブラブラと歩いていると、本屋の前に長月がいた。

「何かお探しですか」

「あ、いえ。見てるだけで……って…」

振り向いた長月は俺に気付いたらしく驚いている。

「さまになってんだろ?」

「バカじゃないの?ってかちゃんと送ったわけ?」

「送ったよ」

「…あそ」

「何か言いたそうだな」

「……千広と何か話した?」

「別に」

「…言われたとか」

「あぁ…」

「えっ!何てっ!?」

「送ってくれてありがとうって…」

「…ハァ…。なんだ」

「何、ホッとした顔してんだよ」

「して無いわよっ!」
(何でこうもコイツは鋭いのよ!)

「まぁ、いいや。何か買うのかよ」

「雑誌みてただけよ。もう帰るわ」

「送ってくよ」

一瞬、驚いたようにした長月だが、すぐに表情は戻った。

「別にいいわよ。すぐだし」

「女の子の夜道は危険なんだろ。ほら行くぞ」

「……」

俺の後ろに黙ってついてくる長月。

「私の家知ってるの?」

「前に一回来た」

「いつ?」

「何かの打ち上げで、送らせられた。覚えてねぇの?」

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