スカイ・フラワー
「あれ?山地は?」

あれから、二日後。今日も準備の日で、俺は学校に来ている。

しかし、山地の姿が無かった。だけど、高円寺の様子はいつもと一緒だ。

あの後から、山地の結果が気になっていた。携帯で電話やメールを送ったが、返事はなかった。

「山地の奴…まさか…」

俺は長月に聞いてみようとした。が、高円寺がいるため聞きずらく田中と段ボールに黒ペンキを塗る作業をしながら様子を伺った。

それに、もう一つ。いつも元気な橘が、今日は嫌に静かだ。さっきから相田と橘はずっとダンマリとペンキを塗っている。

「田中。なんか今日の橘静かじゃないか?」

「あぁ…それは…僕が原因かも」

「へ?」

次の瞬間、持っていたペンキの刷毛をスルッと落した。

「…マジ?」

「うん。コクったんだ橘さんに…」

最近、いろんな事が起きすぎてる。

「…返事は?」

「今日、くれるってメールきたよ」

「良い返事だと…いいな…」

「……うん」

田中はニコッと笑ったけど、何処か引きつった顔だった。

俺はやることが無かったので自ら刷毛洗いを買って出た。

水道でペンキを落としていると、相田が来た。

「三枝君?」

「なに?」

「今日、山地君どうしたの?」

「連絡してるんだけど通じないんだよな」

「…そう」

「あぁ」

「橘さん、田中君に告白されたんですって?三枝君もさっき聞いたんでしょ?」

「よく分かったな」

「あの反応じゃね」

そう言うと、相田はクスッと笑った。

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