スカイ・フラワー
「…だよな」

「彼女、かなり悩んでいたわ。返事は今日なのにどうしようって」

「相談されたのか?」

「ええ。一年の時からの友達なのよ橘さんとはね」

「へぇ」

「私ってこういう人間だから近付き難く思われがちだった。どうしても他人行儀になっちゃうのよ。でも、彼女はそんなの関係なく接してくれた。私の友達でいてくれたのよ。相談役くらい喜んで引き受けるわよ」

相田も俺と似てる。山地がいなかったら俺も駄目になっていたかもしれない。

こんな高校生活は送れなかった。相田も橘に救われたんだ。

「…そうか」

「橘さんは山地君が気になるみたいね」

「……神様の悪戯も程々にして欲しいもんだな」

「……?」

「これは、相田だから言うけど、山地は高円寺が好きなんだよ。この前、告白したんだ」

「…一方通行ね…」

「……あぁ。でも高円寺の様子は普通なんだよな」

「内心はわからないわ」

「…だな。今は見守るしかないな」

「そうね」

「で、橘には何て言ってやったんだよ」

「得るものよりも失うものを考えなさい…ってね」

「くさい台詞だな」

「いい言葉でしょ?」

「あぁ」




その日、橘と田中を残して俺達は帰った。

相田も俺もかなり気になった。橘の決断がどちらなのか…。

< 61 / 104 >

この作品をシェア

pagetop