スカイ・フラワー
「じゃあ、今日は解散ね」

いつも通り、相田の声で俺達は教室を後にした。

その時だって山地は明るかった。ただ…高円寺とは一度も口を聞くことは無かった。

帰り際に、相田に呼ばれた。

「三枝君」

「ん?」

「橘さん、山地君が高円寺さんの事好きなの知ってたらしいの…それで、私、告白した事を思い切って話したのよ。断られた事も」

「知ってた?」

「ええ。それで、彼女は別に気にした様子じゃなかった。これで、私にも希望はまだあるって言ってたわ」

「…前向きだな」

「それがあの子の良いところよ。私はあの子のそういうところが好きなのよ」

相田はクスッと笑うと帰路にたった。

「何やってんだよー!」

山地の罵声が俺の足を走らせた。橘と田中はひとまず落着いた。後は山地と高円寺だな。

橘と山地はまた言い合っているが、橘は何処か楽しそうだ。山地も普通と言えば普通だ…。



そして、いつもなら駅へと向かう道に差し掛かった。

橘と山地はいつも此所で駅へと向かうが、俺は山地を呼び止めた。

長月と高円寺には先に帰ってもらった。俺はその場で、意を決して山地に言った。

「山地。お前ムリしてんだろ」

「なに言ってんだよー。いつも通りだろ?」

「明るく振る舞いすぎ何だよ。分からないとでも思ったのかよ」

「……だから、…」

「連絡くらいよこせよ」

山地の顔はさっきの作り笑いが無くなっていた。橘もそれを心配しているようだ。

「ウッセーな……」

「どうしたんだよ…」

「お前も知ってんだろ!俺は高円寺にフラれたんだよ」


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