スカイ・フラワー
高一から出会って、山地の気を使わせない人間性とお気楽でサバサバした性格は俺を飽きさせなかった。

だから、山地には密かに心を開いている。俺なりにね。


『あ。もしもし』

『よ!三枝。で?』

『行く』

『さっすが!!じゃ、三日後の当日、朝六時に駅なっ。海パン忘れんなよ?』

『えっ!朝って…早くね!?』

『じゃな!』

ブツッ……。ツー…ツー…。

山地の奴…めちゃめちゃ一方的に電話切りやがった。また何かあるな。この感じは。



まだ朝靄の漂う早朝。俺は荷物を確認すると、駅へと向かった。

道路には車もなく人気もない。世界でただ一人になった気分…というのは幼い感覚かもしれない。

車が四、五台俺の横を通り過ぎた頃にはもう駅前まで来ていた。
山地は既に駅の改札口に設置されたベンチにどっかりと座ったまま寝息をたてて寝ていた。

「……はぁ~…」

俺は溜め息をつくと、山地を手厳しく叩き起こした。

起きた山地の第一声は……

「…え?もう終電…?」

てめぇは車内で酔って寝てしまった残念なサラリーマンか!?

と軽く突っ込んで、スタスタと切符売り場へと歩いていった。

「冗談だって!狸寝入りだよ!ドッキリー!」

「言ってろ。どこまでだよ」
(よだれの跡がバッチリ残ってんだよ…)
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