スカイ・フラワー
「脚立何に使うんだよ」
俺は遅れて来た長月に聞いた。
「高い所に段ボール貼りたいでしょ?田中君でも天井には届かないから」
「なるほど」
「持ってくれて、ありがと」
「あぁ」
「三枝ぁ!飲み物買いに行こう!」
「おう」
「二人も何か飲む?」
「私はクーのオレンジ!」
高円寺が言うと、俺は長月に視線を向けた。
「うーんと……」
「長月はアロエドリンクだろ?」
「よろしく~~」
長月は手を振って言った。
「お前よくわかったな」
「あぁ、アロエドリンク?」
「うん」
「一年の時、たまたま自販機で俺がアロエドリンク買ったら売り切れになったんだ。そしたら後ろにいた長月めっちゃキレてさ」
「で、譲ったわけ?」
「まさか。俺はその場から何食わぬ顔で立ち去ろうとしたさ」
「まぁ、高一の三枝はだいぶ人とは距離置いてたからな」
「あぁ。で、長月は何て言ったと思う?」
「さぁ?」
「『学校で飲むジュースは、これって決めてるの。それに、三枝にアロエドリンクは似合って無い。』だってよ」
「勇気あんなぁ!長月は」
「隣りに居た女子は明らかにビビってたな。俺は結局黙ったまま教室でアロエドリンク飲んだけどな」