スカイ・フラワー
「腕、赤くなってる。平気?」

香は奥にいる女子に視線を移すと言った。

「は……はい……」

力無く言った。

「この子の綺麗な腕、傷物にしかけてんですけど」

「だからどうした!」

「代償は高くつきますよ?」

「ぐっ……」

「即刻、そこのドアから失せろ。そして、二度とこの子に寄るなよ」

「……フンっ!」

男子は走って図書室から姿を消した。

「……人の読書を邪魔しやがって」

香は呟いたつもりだったが、すぐ後ろに居た女子には聞こえたらしい。

「すみません…」

「…別に。手、早く冷やした方がいい」

「…ありがとう……」

「…イラつくんだよ…ハッキリ好きじゃないと言えばいいのに」

「…はい…」

「まぁ、君にはあんな奴は勿体ない……そんだけの事だから」

香はドアに手をかけた。その時、女子は慌ててたのか名前だけを言った。

「こ、高円寺 千広って言いますっ……」

「……」

香は千広の顔を見てすぐに廊下を歩き出した。



ーーーーーー…………………

これが、高円寺と俺が最初に会った日だった。今思えば、かなり失礼だな俺。





< 85 / 104 >

この作品をシェア

pagetop