スカイ・フラワー
高円寺の家の門まで着いた。
そして、静かに口を開いた。
「あの……帰る前にいいかな………?」
改まった感じの高円寺は俺とはあまり視線を合わせない。
「なに?」
「私ね?三枝君に初めて会った時……正直、怖かった…でも、三枝君に助けてもらってから本当はよく放課後に図書室に行ってたんだ……」
俺は驚いた…ただ…驚いた
「…ほら…クラス違ったし、三枝君はあんまり休み時間とか外出ないし…だから、放課後なら図書室いるかなって………本当は感謝の言葉を改めて言おうと思ってたんだけど……なかなか言えなくて………」
「へぇー…」
「なんか三枝君っていつも独りで……孤独な人かと思ってたんだ………毎日のように放課後とか本読んでたし………だから……
だから…私は三枝君の隣りに居たいな……って思った……
でも、それは頭の中で考えるだけで……体は動かなかった。ただ、見てるしかできなかった」
そして、高円寺は一呼吸置くと俺の目をちゃんと見て言った。
「だから、三枝君と同じクラスになれて……嬉しかった……。いつでも、三枝君が見れるから……だけど、三枝君はもう独りじゃなかった…山地君や夏葉が居て……話したり笑ったり…私の知らない三枝君がいた……少しずつだけど、三枝君は変わっていった……海で会った時よりも……三枝君は変わったね………」