スカイ・フラワー

「長月はさ……恋って何かを知ってるのか……?」

「三枝は前に私に聞いたね……『好き』って何って……私はあの時、愛とか言ってたわ…それも…恋…でも、淡い想いもまた……恋だって…私は気付いたわ。どんなに小さくてもね」

「淡い想い……ね」

「そう………それは……あなたが気付かせてくれたから…」

初めて、長月は俺の目を見て言ってくれた。うっすらと笑いを浮かべた長月はすぐに裏方を出ていった。

この時、俺はまだ分かっちゃいなかった。長月の言った意味を理解するには俺はまだまだだったんだ。

人を好きになる勇気がない……

俺は今まで、そうだったのかもしれない。

知らないから何もしない。分からないから何もしない。

俺はこの負の連鎖の中でただ彷徨っていただけだったんだ。

高円寺の想いは俺にとって大切な宝物だった。だからこそ、何も知らない俺が手にするわけにはいかないと……そう思った。

恋というのを知らない俺には重いモノであると思った…

それだから逃げ出した………?










ううん…。












俺にも……









……淡い想いを抱かせる人がいたんだ……






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