*執事サマの甘い誘惑*




「ごめんなさいっ!」


「え…」




とっさに出てきたこの言葉。


何言ってるのあたし!


チャンスなのに!!


言ったあとで、その意味に気がつく。


そして、今あたしが置かれている状況にも。


周りの景色が急に視界に入ってくる、この感じ。


彼の後ろにいた他のプリンスの二人は、唖然としてあたしを見つめ、


お嬢様がたは冷たい視線を突き付けてくる。


彼は立ち上がって何か言おうとした。


でも、


だめ。こういう雰囲気、耐えらんない!


彼の言葉も聞かず、あたしはその場を去ろうとした。




「しっ失礼しますっ」




それなのに、


逃げることが出来なかった。


彼の…東堂 蓮の手が、あたしの腕を掴んだから。






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