*執事サマの甘い誘惑*



「はぁ…」




空はこんなに青いのに。


何であたしはこんな所にいるんだか。




「ねえ。ため息なんかついてるけどさ、もう決めたの?」


「えー?」




フワフワのロングヘアーに茶色のネクタイの女の子が、頬杖をつきながら質問してくる。


ハリーポッターに出てくるようなこの食堂を、まんべんなく見渡す。


お嬢様と王子様のツーショットばかりが目に入ってくる。


あたしは視線を彼女に戻し、わざとらしく首をかしげた。




「決めるって、何を?」




すると、彼女はクスッと笑う。


あ、笑われた。


こんな反応が返ってくるのは想定内。







「だからぁ、

結衣の『執事』!」






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