*執事サマの甘い誘惑*




急に体がバランスを崩した。


揺れ続ける地面。




これ、地震…!?




「きゃああっ」




お嬢様方が大袈裟に叫んで、執事にくっつく。


そうして彼らはあたしに目もくれないで、


教室から逃げるように出て行ってしまった。


その後しばらくして、揺れが静かにおさまった。




「は…ぁ」




なんていいタイミング。


とりあえず、助かった。




「あ…」




体の力が一気に抜けた瞬間、初めて気がつく。


教室の入り口に立つ人影。




「何やってんの?結衣サマ」




腕を組んで入り口にもたれかかって立ち、こちらを見ている彼。


出てくるの、遅い。




「東堂蓮…」






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