*執事サマの甘い誘惑*



呆然として、しばらく女子のかたまりを眺める。


すごい。


あんなに人気なんだぁ。


我先にと、お嬢様方はプリンスにお目にかかろうと必死になっている。


あの中に入ったら潰れてしまいそう。


すると突然、お嬢様たちは道を空け始めた。


プリンスたちが通るために。


黄色い声はピタリとおさまり、周りのざわつきも消えていく。


プリンスたちは、女子の群から姿を現して歩き出した。




……ん?


あれ…




気のせいかもしれないけど、


…や、たぶん絶対気のせいだけど、


こっちに向かって歩いてきているように…見えるんですけど。


まわりの視線が一気にあたしに集まり、


そんな予感を確信に変えてゆく。





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