消された煙草
その日から、彼女は時々私の部屋を訪れるようになった。
最初はお礼に、と果物やらお菓子やらを手に。
次第に気軽にお喋りを楽しむ為に。
彼女は綺麗だった。
一度も染めたことのなさそうな艶々した黒いストレートの髪は肩まで伸び、黒目がちの目はクリクリとよく動いた。
少し低めの鼻と、ふっくらした薄紅色の唇がバランス良く配置されていた。
笑うとえくぼのできる彼女の笑顔に、いつも私の胸はドキドキと高鳴るのだった。
「ねぇ、一緒に住んでもいい?」
ある日彼女は言った。