消された煙草
「あら、いたの?」
唐突に背後から声が掛けられて、私は文字通り飛び上がった。
「なぁに?そんなに驚くことないでしょ?」
柔らかい声がクスクスと笑う。
ぎこちなく振り返った私は、その顔を見て驚愕した。
あの、死体の女だった。
さっきまでそこに、血だらけで倒れていた、女。
目の前の女は怪我一つなく、白いワンピースを着て立っていた。
声も出せないほど驚いている私に、また彼女は笑った。
邪気のない顔で。
薄いピンクの唇が笑みを浮かべたまま動く。
「あたしを殺して面白かった?」