ハッピーバースディ
(三)
「そろそろ行った方がよくないか?」
あの日から一週間が過ぎた頃、ふいにタクが言った。
そうか、もう一週間なんだ。
気がつくと無断欠勤。
いや、ほんというと、
気が付かなかったわけじゃないけれど、
どうしても行く気になれなかった。
恐かった。
少しでもタクから離れたら、
戻ってきた時、消えてるかもしれない。
ずっと私は、そんな恐怖観念にかられていた。
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃない」
「どこにも行かないよ」
タクが笑う。憎らしいぐらい無邪気な笑顔だ。
「行かない」
「ああ、行かないよ、約束する」
「違う」
「ん?」
「仕事」
しょうがないなぁ、と大げさなため息をつき、
タクは私の頭のうえにぽんと手を乗せる。
そしてクシャクシャする。
私がこれに弱いことを知っているのだ。
あの日から一週間が過ぎた頃、ふいにタクが言った。
そうか、もう一週間なんだ。
気がつくと無断欠勤。
いや、ほんというと、
気が付かなかったわけじゃないけれど、
どうしても行く気になれなかった。
恐かった。
少しでもタクから離れたら、
戻ってきた時、消えてるかもしれない。
ずっと私は、そんな恐怖観念にかられていた。
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃない」
「どこにも行かないよ」
タクが笑う。憎らしいぐらい無邪気な笑顔だ。
「行かない」
「ああ、行かないよ、約束する」
「違う」
「ん?」
「仕事」
しょうがないなぁ、と大げさなため息をつき、
タクは私の頭のうえにぽんと手を乗せる。
そしてクシャクシャする。
私がこれに弱いことを知っているのだ。