HONEY HUNTER
ど、ど、どうしよう・・・!!

せ、先輩とこの距離で目が合うなんてっ!!
き、奇跡だ!

「(あ、でも)」

私はふと前に先輩から聞いた事を思い出した。





『俺さぁ、無駄に視力だけは良いから遠い所も見えるんだよね』





「(な、なるほど)」

いや、でもこれで授業も楽しく過ごせる!(もうすぐ終わるんだけどね)



「なにしてるのー!!」



先輩が叫んでいる、私のために。
と言うか、私と話すために。

ああっ!私も大声で『先輩をみつめてましたぁー!!』とか言いたい!
あ、いやでもそこまで大胆な事は言えないけど(あとになって照れる)。

どーしたら先輩とお話できるかなぁ・・・

幸い、まだ先輩の叫びは誰にも気付かれていない。


「(・・・あっ!ナイスアイディアがっ!!)」


私は机の棚からいらない紙を取り出し、内容を書いた。
先生からはノートを取ってると思われるからラッキー。

「(これを紙飛行機にして・・・それっ!)」

今折った紙飛行機を先輩めがけて飛ばした。

「(あ、ヤバい木に当たるっ!)」

そう思ったらギリギリのところで風が田沢先輩の方に吹いた。
そして無事に紙飛行機は先輩の元へ。

「(よ、よし!)」

さすがサッカー部、運動神経が良いだけに先輩はそれを軽々とキャッチした。

「(読んでる・・・)」





「おい勇護!戻るぞっ!」

「あ、あぁ。さきに行っててくれ」

「早く来いよー」

香花さんの飛ばした紙飛行機を広げると、そこには数行なにか書かれていた。



『ただいま英語を勉強中でーす、先生が怖いっ!σ(^_^;)』



「(可愛い文字だなぁ)」

返事は・・・また叫ぶか?
俺は深く息を吸った。

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