HONEY HUNTER
「あ・・・」

そういえば、黒名いつにも増して目のくまが深い。
・・・泣いた跡・・・?

「く、黒名?」



「ご、ごめっ・・・ヤバ、涙・・・」



「ちょ、黒名っ!?」

く、黒名が泣いたっ!?
は、初めて見た・・・じゃなくて!

私はなるべく誰にもバレないように黒名を立たせた。

「黒名、行くよ」

「・・・蜜」



ガラッ



AT [保健室]。

「黒名、着いたよ」

黒名はもう泣いてはいなかった。
強いな黒名は。

でも、かすかに悲しみの気配は残っていた。

「黒名、どうし―――――」



「『髪きり』が・・・帰ってきた」



・・・ウ、ソ。

「え、そんな。・・・嘘だ」

「私も最初は嘘だと思った」

途端に黒名の声は震え出す。
駄目だ、私が守らないと。

黒名はベッドに座り、私はその隣に座る。

ああ、また『あの』過去を振り返るのか。

「え・・・なんでっ」

「もう、期限の10年が経った」

「っ・・・!」

「私、本当にどうしたら良いか・・・っ!!」

取り乱す黒名、叫ぶ黒名、涙を流す黒名。

全てが鮮明に残っていて。
私達は誓った。





もう、全てを消そう。
あの頃の記憶は、胸の奥深くにしまっておく、と。





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