HONEY HUNTER
黒名と蜜
私の心はいつも閉ざされていて、その鍵はピアノが持っていた。
毎日一緒に過ごして、毎日一緒に奏でた。
弾いている時はなにも怖くなくて、世界は自分のものになった。
ただの個室が宇宙になり、ただ楽しくてたまらない。
ある日、窓から君はやってきた。
「ねぇ!君ピアノ上手だねっ!」
その一言で、突き動かされる運命。
HONEY HUNTER
黒名と蜜 ―PAST―
「黒名っ、お稽古の時間よ!」
「はーい」
昔の思い出、そんなのピアノしか浮かばない。
私はただ普通の家族で普通の環境で育てられた。
ただのピアノが大好きな女の子、『だった』。
今更こんな過去、思い出してもきりがないけど。
たまに、あの音色を聞きたくなる。
「今日はなににしよっかなぁ〜?」
その日、私は必死にいつもの楽譜を探していた。
私の大好きな、ムーンライトソナタを弾こうと思ったから。
でも一向に見つからなくて。
胸が、ドキドキした。
「(いつもココに置いてあるのに・・・)」
その頃長かった髪がちょっと邪魔で、だけど結ぶのも嫌いだったから。
とにかく探して探して、探しまわった。
「お、お母さん!楽譜が見つからないの!!」
ただの楽譜。
ただの楽譜がなくなっただけで軽いパニック起こすほど、私はピアノを愛していた。
「お母さ―――――」
リビングに行くと、知らない人が紅茶を上品に飲んでいた。
なんだか優しそうな人だなぁーって、ちょっとだけ優越感にひたった。
でも、また楽譜の事を思い出して。
「お、お母さん!楽譜がない!」
「あぁ、これのこと?今ね、ちょっと先生とお話してたのよ」
「なんで?」
お母さんは私に楽譜を渡してくれて、嬉しくなった。
「あなたの事で話していたの」
「私のこと?」
ちらっと先生の方を見る。
今では優しい時の先生なんて憶えていない。
記憶は正直で、古いもの消去して新しいものをインプットしてゆく。
私の場合、幸せが消され―――――悪夢が積まれていった。
毎日一緒に過ごして、毎日一緒に奏でた。
弾いている時はなにも怖くなくて、世界は自分のものになった。
ただの個室が宇宙になり、ただ楽しくてたまらない。
ある日、窓から君はやってきた。
「ねぇ!君ピアノ上手だねっ!」
その一言で、突き動かされる運命。
HONEY HUNTER
黒名と蜜 ―PAST―
「黒名っ、お稽古の時間よ!」
「はーい」
昔の思い出、そんなのピアノしか浮かばない。
私はただ普通の家族で普通の環境で育てられた。
ただのピアノが大好きな女の子、『だった』。
今更こんな過去、思い出してもきりがないけど。
たまに、あの音色を聞きたくなる。
「今日はなににしよっかなぁ〜?」
その日、私は必死にいつもの楽譜を探していた。
私の大好きな、ムーンライトソナタを弾こうと思ったから。
でも一向に見つからなくて。
胸が、ドキドキした。
「(いつもココに置いてあるのに・・・)」
その頃長かった髪がちょっと邪魔で、だけど結ぶのも嫌いだったから。
とにかく探して探して、探しまわった。
「お、お母さん!楽譜が見つからないの!!」
ただの楽譜。
ただの楽譜がなくなっただけで軽いパニック起こすほど、私はピアノを愛していた。
「お母さ―――――」
リビングに行くと、知らない人が紅茶を上品に飲んでいた。
なんだか優しそうな人だなぁーって、ちょっとだけ優越感にひたった。
でも、また楽譜の事を思い出して。
「お、お母さん!楽譜がない!」
「あぁ、これのこと?今ね、ちょっと先生とお話してたのよ」
「なんで?」
お母さんは私に楽譜を渡してくれて、嬉しくなった。
「あなたの事で話していたの」
「私のこと?」
ちらっと先生の方を見る。
今では優しい時の先生なんて憶えていない。
記憶は正直で、古いもの消去して新しいものをインプットしてゆく。
私の場合、幸せが消され―――――悪夢が積まれていった。