大嫌いな街
「そういや、今日は処理した犬、覚えてるか?」

「おー、あのボロボロのやつだろ?耳千切れかけてて可愛そうだったな」

「ありゃ、相当修羅場をくぐって来てるな」

「ほー、その根拠は?」

「あいつさ、堂々と歩いてたんだ。まるで、これから死ぬってわかってるみたいに」

「おいおい、気のせいだろ?」

「いや、それがさ、執行部屋行くまでに一つ鏡があるだろ?あいつ、その鏡をじっと見てたかと思ったらさ。…泣いてたんだよ」
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