シンデレラ物語―ラブコメ風―
久遠 仁のココロ。
走り去った千春を思い浮かべながら、生徒会室に向かった。
『思いっきり踏みやがって…』
しかし、怒りよりも喜びのほうが強かった。
(まさか同じ学校だったとは…)
つい、ニヤけてしまう。柄でもない自分がいる。
スピーチを終えて壇上に並べられてある自分の席に戻ろうとした時、視界にアイツが移った。
もう一度、会いたいと思っていたあの女の子。
一番後ろにいたアイツは、鼻血を出した子を揺さぶっていた。
もしかしたら、人違いだと思ったが気になってしまい壇上から降りた。
アイツに近づく度に胸が高鳴る。
『大丈夫?』
その子は、口を開けたまま顔を見上げた。
(……っ!!)
この子だ…
もう会うことはないと思っていた。