*人形姫*
トボトボと、夜の道を歩く。
電車かバスに乗ったほうが早いけど、お金がもったいない。
元気だけはあるし、歩くことにしている。

夜の薄暗い道、突然、照明の数が減った。
いつも思うけど、この数分の間、すごく暗い所を歩かなきゃならなくて、一瞬、凄く不安な気持ちになる。
早く帰ろ……。
足早に家に急ぐ。

もうすぐ明るい所に出る、安心しかけた、その時だった。

「……んっ!?」

突然、口を押さえられて、体を羽交い締めにされた。
見知らぬ男の熱っぽくて、イヤな息が首もとにかかる。

(やだ……気持ち悪い!)

精一杯暴れてみるけど、女の力じゃ適わない。
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