幕末恋々
家に帰ると私たちは縁側に向かった。




もう大分日が傾いてきていて縁側はオレンジ色に染まっていた。





「ほら、恋とっとと前向け。」





「うん。」






私は土方さんに言われた通り前を向いて縁側に腰掛ける。







土方さんは私の後ろに膝立ちするとはさみで今まで使っていた紐をパチンと切った。






すると今まで上のほうでしっかり縛られていた髪が一気に下に垂れ下がる。







「随分伸びたな。初めて会ったときより長くなっている。」






土方さんはそう言いながら私の髪を優しく触る。





「でしょ?土方さんが私の髪が好きって言ったから伸ばしてるんだよ。」





私はそう言って自分の髪を少し触る。

















< 401 / 431 >

この作品をシェア

pagetop