DOLL
秀哉のあとに続き、屋上に到着する。
「紗雪、おいで?」
秀哉は壁に持たれて座り、あたしに優しく声をかけた。
あたしはゆっくりと秀哉のもとへ足を進め、目の前にしゃがんだ。
それと同時に秀哉の顔が近づき、唇が重なりあう。
恋愛感情を持ってはいけない、それなのに温かいキス。
あたしは、秀哉のことが好き…
でも、それは心の奥にしまい込まなければいけない感情だから…
次第に秀哉の舌が入ってきて、愛はないのに、勝手に意識してしまう、激しいキスに変わる。
このキスに意味はない。
秀哉は今、紗雪じゃない、DOLLという存在にキスをしてるんだ…
いきなり秀哉の顔が放された。
「紗雪、何考えてんの?ぼーっとしちゃってさぁ」
「べ…別に何も考えてません」
「嘘つくなよ。余計苛つくんだよ」