渇望男の潤いペット2
「マジかよ…」

彼が呟くと、椿ちゃんがゆっくり振り向く

何に驚いたんだろう?海で同族と居たなら、人魚が珍しい訳じゃないだろうに…

「はじめまして。椿です。」

「あ、はじめまして、太陽です…」

「あなたの噂は聞いています…。掟やぶりも、一族に珍しい『男の子』だってことも。」



そう言えば、人魚の男って確かに聞かないな…

「でも、弱い代だよ?」

「そうですね」

椿ちゃんが、いつもと比べられないくらいの笑顔を見せた


俺はその瞬間、胸の奥がジリジリするのを感じた…


「あんたは、もう決めたんだな?」

椿ちゃんが頷く

その意味が、俺には理解出来なかった

「で?あんたは海に還るの?」

「いいえ。このままここで死んでいくと思います…」

「そう。で?俺に何か用があったの?」


お前にただ会いたかっただけだろ!


俺は何故かムカついてきていた


この男の無神経さに

「あなたの強さを見て、話してみたかっただけ…
掟やぶりの男の子に」

「実際、つまんねーだけだろ?」


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