渇望男の潤いペット2
「具合は悪くない?」

「大丈夫ですよ。注射器一本だもん。血液検査みたいなものだから」

キレイな笑顔に安心する


父さんなんかの側より、椿といた方がずっとマシだった

椿を化け物だと感じた事は一度もない

でも父さんの話を聞くと、やはり人間ではないんだと実感させられる…


「傷は痛まない?」

「大丈夫ですって!ほら…」

そう言って腕を出した彼女の傷を見ようと、俺も手を出した瞬間だった



彼女の肌に触った一瞬で、俺の中に押さえ込んでいた黒い闇が溢れだしてきた!


心臓の鼓動が早くなって





気がつけば俺は、彼女の注射器の痕に唇を付けていた


「ぜん…さ…」

何て事だ!!

彼女に触れた指先や唇から、一気に身体が満たされ始めて、まるで干上がった大地に雨が染み込むように俺は潤い始めた…

『彼女から離れなきゃ!』

頭はそう叫んでいるのに、指も唇も、離せない!

離すことなんか出来ない!!


「全さん、ど、どうしたんですか?」


椿の声に反応して、彼女の顔を見つめた


キレイな瞳…キレイな顔


引き寄せられて…






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