モテるあいつ。
周りのみんなは、
「幼なじみにあんなカッコイイ人がいていいよね~」とか、
「一度も好きになった事ないの!?」とか言ってくる。
私が聖斗の事を嫌いという事を一番よく分かっているふうり。
この子でさえ、私の事を羨ましがる事がしょっちゅうある。
「おい!」
むっ!?
この声はぁぁぁ…
聖斗!!
「そこどけ」
わざと小さい声で言う。
「優しい」というイメージを崩さないためだ。
私はすっと端へよける。
こういう時に「ちょっと―――!それどういうこと!?」とか言っても無駄。
こうやって黙ってその通りにするのが一番。
自分のためにも、ね。
聖斗は「ちぇっ」という顔をしてすたすたと通り過ぎていった。