眠り姫は目覚めた。

里菜さんを連れていきます。必ず送ります。」

和也は弟に気付き、にっこり会釈をする。



和也は家に向かう。二人は仲良く手を繋いでいる。

「おかえりなさい。」

和也の母は迎える。

「あら、里菜ちゃんいらっしゃい。」

母は、二人が手を繋いでいるのに気付きニヤリとする。

「お…おにぃちゃ…。」

奈央がてくてく歩いてくる。

「お、奈央、呼んでくれたのか？」

にっこり笑う奈央。
奈央はやはり、里菜の果実の匂いにホロッとする。

「この匂い好きなのね？」

里菜は奈央を抱く。和也は、

「母さん、話があるんだ。」

母は、

「結婚したいのでしょ？里菜ちゃんと。わかるわよ。手を繋いで来たら。和也は悠太を見てたから、直ぐにでも連れてくると思ってた。会社の事も考えてね。まぁ、年の事もあるし。私は若かったから、側にいたいという気持ちがあったから。入りなさい。私は里菜ちゃん好きだからね。」



父は居間で本を読んでいる。

「あら、里菜ちゃんいらっしゃい。ゆっくりしていきなさい。」

和也が、

「父さん、里菜と結婚したい。認めて欲しい。」
「唐突だなぁ。付き合ってどれくらいだ？」
「今日からです。でも、２週間前から気持ちがどんどん増えてきているのに気付いていました。里菜しかいないんです。幼い時、一番遊んでいた。里菜と結婚したい。これから結婚までにお互いを知ればいいと思っています。」
「…一瞬の感情で結婚して欲しくない。わかっている。里菜ちゃんは優しい人だって。でもな、結婚は一生共にする。子供だってできればたくさんの愛情を注いで欲しい。」
「わかっています。僕は両親を見ています。好きで好きでたまらない。長男のせいで、母さん、未来産まれる子供、特に長男が産まれれば自分と同じ因果が待っている。それを危惧した父さんは不安から母さんを抱かなかった。お互い好きで、二人が初めて結ばれた時、僕が母さんのお腹に宿った。そして、産みたかった母さんは、父さんの愛を逆手に取って、旅に出た。僕を産んで、一人で育てる為に。」
「……。」
「僕も同じ血筋を持つから、だから彼女を作れなかった。傷付けるのは僕だ。だから、解放？された後に、いきなり彼女を作ろうとしても、どう作っていいのかわからなかった